くるみとあんずの散歩道

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オペラの魅力

2014/03/18(Tue) 00:40
猛烈花粉症で引きこもりがちなある日

退屈しのぎにDVDを見ようと思いつきました。

パパの囲碁先輩Aさん宅からお借りしたオペラのDVDが

たくさんあることを思い出して。。。

さぁ!何を見ようか・・・?

と迷いながら、子供の頃、初めて見たオペラの記憶が蘇りました。

確か、カルメンだったと思います。

声楽家の持つ、声量の豊かさに圧倒され、感動しつつ でも!

「なんで死にそうな人(カルメン)が、そんなに大きい声、出せるの?」

と子供心に不思議に感じたものでした。

クラシック音楽が大好きな長兄に、そのことを報告しますと

「オレはオペラは大っキレエ(嫌い)」との返事。

理由は  兄にとってクラシック音楽は

俗っぽい日常から解放される世界なのだそうで。。。

それをわざわざ愛だの別れだの裏切りだの。。。

「メロドラマみてぇなこと持ち込むなってんだ・・・!」と散々に言われ

すっかりオペラに対する偏見が

私の頭にインプットされてしまいました。

それからしばらくは、兄のマインドコントロール(?)が溶けないままでしたが

ある日、教会でソプラノのキリテ・カナワのレーザー・ディスクを見、

声楽家の声のパワーに衝撃を受けました。

子供の頃、惹きつけられたまま閉ざしてしまった扉が

突然開かれ、光が差し込んだような一瞬だったのです~♪



私のオペラ鑑賞は、その日から始まりました。

いくつかのCD購入、そして折に触れ直接見に、聞きに行き

いつも圧倒される様な、迫力と、表現力を感じました。



今回、お借りしたDVDの中に

見たかったけど見ていないオペラのひとつ・・・

プッチーニの「ラ・ボエーム」が!!!!!

DSC00045.jpg


1830年頃のクリスマスの夜、詩人・画家・音楽家・哲学者たち…

が集まる、パリのアパルトマンが舞台。

(余談ですが、1930年と言うと、フランス7月革命の年。
 1789年に仏大革命。その後はナポレオンの活躍と没落、
そして仏正統ブルボン王朝, 復古王政。
 時代錯誤の政治を行い、再び民衆の怒りを買い…7月革命へ。
 あのレ・ミゼラブルと同時代)
 



詩人ロドルフォは、彼の部屋に集まっていた若く貧しい芸術家の卵たちを

一足先にカフェに送り出した。

1人になったロドルフォの部屋に、隣室の屋根裏部屋で暮らすお針子・ミミが

ロウソクの火を借りに現れる。


 (この時期、マッチがようやく生まれた頃で
   一般に出回っていない時代だった)


ミミは部屋に入るなりカギを落としてしまった上、

開けたドアからの風で、ロドルフォのロウソクの火も消してしまう。

暗い部屋の床を手探りでカギを探すミミ。。。

共に探すうち、ロドルフォのほうが先にカギを見つけ…でも

彼はそれを自分のポケットにしまい、探すふりをしながら

ミミの手に触れ・・・

ここで有名なアリア 『冷たい手』を

パバロッティ(ロドルフォ)が歌い上げる。


「なんて冷たい小さな手・・・私に温めさせてください。

 カギを探して何になるのですか?こんな暗闇で見つかる筈もありません。

 でも幸運なことに今夜は月夜。私達を照らしています。


 待ってください、お嬢さん。

 私が誰で何をして、どう暮らしているか説明させてほしいのです。

 私は詩人です。

 貧しい暮らしを楽しみながら、愛と詩と歌を王のように

 惜しみなく費やしているのです。

 私には夢と空想と空に描く城のお蔭で

 巨万の富の魂を持っているのです。

 ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ 」

ロドルフォはミミの冷たい手を取って、自身の暮らしを聞かせた後

「さぁ、これからは貴方が話す番です・・・♪」

とミミの身の上を尋ねる。


恋の芽生えがミミ(レナータ・スコット)の表情に現れ。。。

恥じらいを浮かべながら切々と語るその歌は。。。

『私の名はミミ』


「はい、皆は私をミミと呼びます。

 けれど本当の名前は ルチアなのです。

 私は家や外で麻や絹に刺繍をしています。

 ユリやバラの刺繍が私の心を穏やかにしてくれます。

 そして私は…

 恋や青春、夢や空想を話してくれる 詩という名の

 優しい魔力が好きなんです。

 お解りになって?」 

 とここでロドルフォを見るミミ。

 頷くロドルフォ。

 そして彼女の恥じらいの表情は、徐々に高揚していき。。。



 「皆は私をミミと呼びます。何故だか解りませんけど…

  私は一人で食事の用意をします。

  毎週ミサに行く訳ではありませんが

  神様へのお祈りはしています。

  私は一人で・・・一人ぼっちで・・・

  隣の小さな部屋で暮らしています。」

  

そして最大の音楽的クライマックスの訪れ!


  「屋根の上の空を眺めながら・・・

   雪が解ける時期が来ると・・・

   最初の太陽が私のものなんです。

   四月の最初の口付けが私のものなんです。

   最初の太陽が私のものなんです。
 
   
 
  鉢の中にはバラの蕾が開き その花びら一枚一枚の香りを吸いこむ…

  あぁなんて素敵なんでしょう・・・・♪」

   

 こうしてミミはお針子としての自分の暮らしを打ち明けつつ

 詩人ロドルフォへの高まる思いを、

 屋根裏部屋の窓から見える雪解け=春(恋)の訪れに例えて歌い上げる。



このオペラの特徴は、王とか権力者とか煌びやかな姫とか

恋敵とか、とかくオペラにありがちなエッセンスがないこと。


時代錯誤な政治をした復古王政を破るため、

民衆が立ち上がった1930年が舞台の物語。


そして貧しい若者たちとは言え、教育も受け、帰る親の家のあるロドルフォと

アパルトマンの屋根裏部屋で暮らす小間使いとは貧しさの度合いが違う。

ロドルフォは売れない詩人であっても、飢え死にはしない。

好き勝手な芸術論を、仲間と語り合える。

純粋な恋もできる。愛するに相応しい人物でもある。

だから貧しくとも楽しく暮らすことはできる。だが重い病気や死といった

究極の事態になった時、彼にはそれを乗り越える力は無い。

暖炉にくべる薪も買えない。医者に払う多額の医療費もない。

ミミは…

度合いが違う貧しさ…と言え、小間使いであっても美しいミミには

資金の手を差し伸べようとする存在が感じられる。

ミミそして登場人物ムゼッタは娼婦ではないが、

金持ちの援助で生きていける境遇でもある。

この時代、女性が生きていくために

致し方なくこうした生き方をしなければならなかったのだ。



ミミにとって真実の愛・心の温かさをロドルフォに求めてはいるが、

現実の事態を乗り越える充分な経済力が、彼には無い。

二人のそんな関係は嫉妬や恋の駆け引きとなっていき・・・



ロドルフォが冷たい態度をするようになり、

ミミを悲しませる。

実はミミが不治の病に侵されていることを知ったロドルフォが

貧しい自分には、彼女を救ってやれない…との苦渋の選択で

身を引こうとしていたのだ。


ミミは子爵の息子の世話になったが、病は進行し

最期はロドルフォのもとで死にたい、と逃げ出してきたところを

ムゼッタが見つけ、連れてくる。

駆けつけるロドルフォ、ミミの死。



ラ・ボエームは華やかな舞台ではありません。

一言でいえば、戦争のはざまの若者たちの

恋と夢と儚く消える命の物語。

時代背景を知るほどに、ミミとロドルフォの悲しみが浮き彫りになります。



ミミの死で幕を閉じる結末を見ながら

あの毒舌の兄がここにいたら

「この俗っぽさイヤなんだ!」と言ったに違いありません。


でもこうした俗っぽい世界を、芸術の域に仕立て上げる技術って

素晴らしいと思えませんか?



お借りしたDVDには、日本語訳が付いていませんでした。

語学に疎い私の、遠い日の記憶と、

数少ない史料を相手に必死で取り組んだとはいえ

いい加減な解説を長々とお読みいただき

誠に恐縮至極に存知ます<(_ _)> 




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プロフィール

くるあんママ

Author:くるあんママ
2012年夏、東京下町から南房総内房の海岸近くにお引越し。
ミニチュアシュナウザー、くるみ(ソルト&ペッパー12歳)とあんず(ブラック8歳)パパママの4人暮らし。
時に、オバちゃんの介護日誌も兼て。
東京の家には長女CHA-ネエ・ポメラニアン小太郎(7歳)きなこ(2歳)が。
お散歩、趣味(料理)、お友達とのお付き合い、ボランティア等々気の向くまま綴っています。

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