くるみとあんずの散歩道

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記憶に残るプレゼント

2014/02/20(Thu) 17:17
子供の頃私は、古風な西洋館に憧れていました。

実家は一間を除きすべて和室。

食事も座敷で座卓を前に正座して…。

稽古事は日本舞踊と茶道華道でしたので、

洋風な世界に憧れていたのですね。


私の部屋は、茶室風の日本間。

京壁に床の間、屋形船の屋根をもじった天井…

そんな部屋で西洋館へのあこがれを、妄想していたのです。


隣には、10歳年上の長兄の部屋があり、

我が家でただ一つのその洋間で兄は、食後にウィスキーを飲みながら

大音量でクラシック音楽を聞くのが、常でした。


神経質で短気な兄に、出来る限り近付かないようにしていた私ですが、

兄の方は酔いが回ると稀に、滅多に見せない笑顔を浮かべ

「お前も来いよ…」と部屋に呼んでくれます。


それが退屈だった。。。

マーラーのとんでもなく長い交響曲を延々聞かされるから。。。(>_<)

退屈そうにしていると、マーラーよりもっと興味の無い分厚い本を手渡され

「これでも読むか?」と…。

読んでいるふりをしていたのを覚えています。

気もそぞろに聞き流し、ある時、退屈しのぎにいつもの妄想を話しました。



洋館に住んでみたい!と。。。


兄は、ウィスキーの入ったグラスを手に

充血した酔っ払いのとろんとした目で、

ちょっと馬鹿にしたような薄笑いを浮かべていました。



とんがった三角屋根の家で、応接間にマントルピースがあって…

その前で、ロッキングチェアに揺られながら、本を読む。。。


次々展開する私の妄想・・・そして


「読書の後は手紙を書く! インク瓶を開けて羽根ペンを付けて…」


調子に乗って、マーラーもそっちのけでペラペラしゃべっていたら。。。


「うるさ~~い! 黙って聞いてろー!」 


ここで恐れていた兄のヒステリーが炸裂!

私は部屋から追い出され、退屈極まりないクラッシック鑑賞会は

さらに後味の悪い形で幕を閉じました。

この時点では…

怒りん坊な兄の趣味に渋々付き合うこともなくなった…と

ほっとした私でしたが。。。


それからしばらくしたある日…私の机の上に小さな包みが。。。

開けてみると、中から出てきたのは羽根ペン。。。!

と言っても夢見ていた本物の羽根とは程遠い、

細~いプラスチック製の芯にナイロン製の羽根飾り…といった

何ともオモチャっぽい品。

妹を喜ばせたかったのか、色はピンク。

先には不釣り合いな金属製ペン先がガチッと。。。

嬉しい反面その明らかに本物の羽根とは違う代物を前に、ちょっと困惑。


まずは両親と叔母に、現物を手に報告。すると母いわく

「もちっと高級な物、買ってくれればいいのにねー!」 叔母は

「ケチなヒ〇ちゃんにしちゃ、上出来だよー!」そして

「もう2度と買ってくれないよ」と二人は面白そうに喧々囂々。


兄はケチというより、人に気を使わないタイプでした。

求めることも一切なければ、人への気配りなど考えたこともないような、

我が道を行く人でした。


母と叔母は、そんなぶっきら棒な兄と、兄が選んだピンクの羽根ペンとの、

どう考えてもイメージの合わない…滑稽なほど合わない点を

大袈裟に茶化しながら笑い転げ、

「その上この(金属製の)ペン先がねーっ?」

羽根ペンの雰囲気をぶち壊している! と

二人が大いに盛り上がっているその横で


日頃、無口な父が珍しく口をはさみました。

本来、本物の羽根ペンは、

先が切ってあるだけでペン先が付いていない、こと、

切り口は使うほどに傷み、そのたびナイフを入れる、こと。

また頻繁にインクを付け直さなくてはならないので

本物の方が書き難くい…等々


偽物の羽根にペン先付きの兄の選択を支持。。。というか援護。


そうだったのか…

気を取り直して兄の部屋のドアをノック。


「これ…ありがとね…」

「おぅ!おぅ!」 兄の目は相変わらずとろんと充血、

手には琥珀色のウィスキーと氷の入ったグラスを揺らしながら

「お前が羽根ペンがどうとか、インク瓶がどうとかうるせえから!」

とぶつぶつ。。。


私は…もっと感謝の気持ちを伝えたかったのだけど

兄の気難しさがピリピリ感じられ

長居は無用の雰囲気がどんより漂っていたのを察知し、直ぐ退散。



でもドアを閉める間際、兄の背に向かって、言ってみました。

「次はロッキングチェアかなぁ~?!」



「ば~かっ」(^_^;)



その後、兄からのプレゼントは、


叔母の予言通り 何もありません。。。(^_^.)



こうして私の憧れの洋風な暮らしの夢は

羽根ペンのみが叶えられた、というだけで終わりました。(^_^.)

それでも

酔っぱらいながら怒りながら、妹の話を覚えていて

乙女チックなピンクの羽根ペンを兄が選んでくれた姿を

想像するだけでウルッとしてしまいます。


そして

たった一度きりのプレゼントって、

何十年経っても忘れられないものです。



DSC09667.jpg
思い出 コメント:2 トラックバック:0
コメント:
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ママさんの思い出のお話とかいろいろ
素敵なことが多くて
自分史を書かれたいかがですか?

kimi読んでみたいです
by: kimi * 2014/02/22 20:39 * URL [ 編集] | page top↑
--☆kimiちゃんへ、--

ありがとうございます。
母や叔母が実家のことを書き残してほしい、というので
自分史の講座を受けたことがあります。
先生から、裸で町を歩く位の開き直った気持ちで
悪い部分、恥ずかしい部分も正直に書きなさい、と言われました。
すると。。。どうしても書けないことがあって行き詰ってしまいました。
自分や自分の家族だけなら、恥と言っても他愛ない話なのですが、
ある母方の親戚がしてしまった、世間に顔向けできないことを、
何の罪もないまま我が家がその負を背負ってしまったので
その部分をあからさまに書かないと、なぜこんな家族なのか
不明なままなのです。
悩みぬいて、自分史を断念しました。
ブログに時々、家族ネタを書くのは、ぎりぎり書き残せることだけを
書いて、家の歴史を残したい、と切望していた
祖父母や両親の供養に思っています。
by: くるあんママ * 2014/02/23 06:00 * URL [ 編集] | page top↑
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プロフィール

くるあんママ

Author:くるあんママ
2012年夏、東京下町から南房総内房の海岸近くにお引越し。
ミニチュアシュナウザー、くるみ(ソルト&ペッパー12歳)とあんず(ブラック8歳)パパママの4人暮らし。
時に、オバちゃんの介護日誌も兼て。
東京の家には長女CHA-ネエ・ポメラニアン小太郎(7歳)きなこ(2歳)が。
お散歩、趣味(料理)、お友達とのお付き合い、ボランティア等々気の向くまま綴っています。

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